「おもてなし」とは、見返りを求めず、誰に対しても思いやりの心で接すること
おもてなしとサービスの違いを考えていくためには、それぞれの語源について知る必要があります。
「おもてなし」の語源
おもてなしの語源とされているのは大きく2つあり、「ものを持って成し遂げる」から「もてなし」が生まれ、そこに丁寧語の「お」を付けた説と、「表裏なし」が語源となって「おもてなし」に形を変えたという説です。
サービスの語源とされているのは英語の「service」で、「奉仕する・仕える」という意味です。さらに「service」の語源はラテン語 の「servitus」とされており、この言葉は「奴隷」を意味しています。
サービスは「奴隷」の語源の通り、サービスをする側とされる側に、明確な主従関係があり、そこには対価が発生します。また、このサービスには、「いつでも、どこでも、誰にでも」というすべての人を対象としています。
一方、おもてなしは「表裏なし」の語源通り、見返りとなる対価を求めていないので、もてなしをする側とされる側の間には、主従関係ではなく、対等関係が存在しています。さらに、サービスとの大きな違いは「いつでも、どこでも、誰にでも」というマニュアルで均一化されたものではなく、「今この瞬間、この場所で、目の前の相手に対して」あなたができる最大限のもてなしをすることです。
おもてなしとビジネス
このおもてなしを、ビジネスの中で取り組むということは、お客様に対して少なからず見返りを求めることになりますし、社員を教育するためにはマニュアルも必要になるでしょう。
しかし、見返りのためではなく、目の前のお客様のために、あなたができる最大限の行動をすることで、対等な関係にあるお客様は、そこに価値を感じて対価を支払うのです。
マニュアルに関しても、あくまで最低限のサービスを保証するためだけのものであって、職員がマニュアル通りに動けることで満足してはいけません。おもてなしはマニュアル化できません。職員ひとりひとりが自身の中におもてなしの心を持つことで、マニュアル以上の行動が生まれるのです。そのためには、上司と部下の間でも、対等なおもてなしの関係が必要になります。
私たちは、社内におもてなしの精神を根付かせることで、職員ひとりひとりが、関わる全ての人に対して、それぞれのおもてなしを実践できるよう研修を進めていきます。