茶道におけるおもてなし文化

千利休に学ぶおもてなしの心

茶道の文化は日本のおもてなしを語る上で必ずと言っていいほど話題に上がります。とくに千利休が伝えたとされている利休七則は、日本のおもてなし文化の根底を築きました。身分が分けられていた時代にもかかわらず、千利休は「貴賤平等(茶室での身分は平等)」の教えも説いており、現代のおもてなし文化への影響は非常に大きなものでした。

利休七則とは

1. 茶は服のよきように点て

この言葉は「飲む人にとってちょうど良いお茶を点てなさい」という意味です。これは現代のビジネスにも置き換えることができます。自分たちのサービスや商品に誇りを持つことも大事ですが、マニュアル化されたものを「これが自社のサービスです」と押し付けるのではなく、お客様にとって最適な対応をしたり、お客様の要望に応えて商品の形を変えたりすることも重要なおもてなしだと示しています。

2. 炭は湯の沸くように置き

この言葉は「炭はお湯がしっかりと沸く位置に置きなさい」という意味です。当たり前のことを説いているように思えますが、お湯を沸かすという簡単な作業でさえも、万全な準備でお客様を迎えなさいということを伝えています。

3. 花は野にあるように生け

お客様を招いてお茶を点てる際、茶室には必ずお花を飾ります。この言葉はお花を飾るときの心構えを示しています。決して自分の好きなように飾るのではなく、あくまで自然な状態で飾ること、つまり物事の本質を考えて簡潔に表現することを示しています。

4. 夏は涼しく冬は暖かに

クーラーや暖房などがない時代、人々は打ち水や室内の演出など、様々な工夫をしてお客様を招いていました。現代では簡単に部屋を快適な状態にすることができますが、それ以外でもお客様に合った気配りが大事であることを示しています。

5. 刻限は早めに

この言葉は「時間に余裕を持ちなさい」という意味です。時間を守るということではなく、時間に対してゆとりを持つことによって、お客様への対応に余裕を持てるようになることを示しています。社内に対しても社外に対しても、計画を立てる際に、ある程度余裕を持ったスケジューリングをすることで、時間に追われることなく、相手の気持ちを考えた対応ができるようになります。

6. 降らずとも傘の用意

この言葉は「雨が降っていなくても傘を用意しなさい」という意味です。あらゆるリスクを想定した準備は言わずもがな重要なことですが、ここでは自分へのリスク回避ではなく、相手へのリスク回避が焦点となっています。あくまで相手への思いやりを重視した千利休の考え方です。

7. 相客に心せよ

「相客」とは茶室に同席したお客様のことです。上の六則は、亭主からお客様へ約束ごとが書かれていますが、これはお客様同士の約束になります。これはお互いに尊重し合うことで特別な時間を過ごしましょうという意味になります。

これらの利休七則は茶道だけでなく、ビジネスにおけるサービスや社内の研修にも応用できるものになります。常に相手のことを考えて思いやる利休の価値観を持つことで、細かい気配りや丁寧な対応など、お客様に対しての行動が変わり、感動を生み出すことができるのです。お客様の期待を超える感動は、口コミやリピーターを生みます。私たちはベトナムで、多くの企業に「おもてなし文化」を浸透させて、ベトナムのさらなる発展の一助になれるよう活動していきます。

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