おもてなしをベトナムへ

 

一流のおもてなし企業は、誰もが持っているような道具や誰にでもできるような行動で、多くの人々の感動を生み出し、特別な体験を提供します。こういったおもてなし企業の従業員は、お客様がお店やホテルに足を踏み入れる前であっても、彼らが何を必要としているのかを予測し、入念な準備をした上で、最上級の対応をすることができます。これは、従業員一人一人におもてなしの心が宿っているからです。人口が年々増加していき、あらゆるサービスで溢れ返っているベトナムで最も重要なのは、サービスにおける質の差別化で競争上の優位性を手に入れることです。日本のおもてなしはベトナムでビジネスを成功させための大きな鍵となるのです。

おもてなしの基本的な意味は「表裏なく、思いやりの心で、相手をもてなす」ですが、実際は簡単に説明できない概念で、もっと深い意味があります。お客様に対してのおもてなしは茶道が由来となっており、「一期一会」の考え方でお客様をもてなします。この「一期一会」というのは「お客様との出会いは、二度と繰り返されることのない一度きりのものであることを心得て、今あなたにできる最高のもてなしをしましょう」いう意味になります。

おもてなしはサービスではありません。

サービスという言葉は、企業と顧客の間で行われる取引を意味することが多く、企業側が提供する価値に対して、顧客が対価を支払うことを指します。サービスという概念において、企業は利益を得ることが目的なので、効率化を求めたり、競合他社との価格競争に陥ることも多くなります。

このサービスに対して、おもてなしは見返りとなる対価を求めていないので、もてなしをする側とされる側は対等な関係となります。さらに、サービスとの大きな違いは「いつでも、どこでも、誰にでも」というマニュアルで均一化されたものではなく、「今この瞬間、この場所で、目の前の相手に対して」あなたができる最大限のもてなしをすることです。

このおもてなしを正しく理解し、実践することができれば、ベトナムの企業は市場で競争上の高い優位性を手に入れることができます。独立や自主性を好む西洋諸国と比べて、ベトナムの文化は日本との類似性が非常に高いです。ベトナムには、コミュニティによる文化が強く、おもてなしにおける思いやりや感謝などのベースがすでに存在しています。しかし、おもてなしというのは心から生まれるものであって、ベトナムの企業は、一流のおもてなし企業と比べると、十分に洗練されていないケースが多いです。したがって、継続的なトレーニングによって、おもてなしを深く理解し、その心を養い、行動に変えていく必要があります。従業員がお客様の感謝や感動に対して喜びややりがいを感じ、社内におもてなしの土壌を形成していくことが最も重要な要素なのです。

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