ベトナムに合ったおもてなしを

おもてなしを「守破離」で実践

ベトナム人にとってのおもてなし

ベトナムにはおもてなしが浸透しやすい土壌があります。それは親日国であり、日本の文化と類似する点が多いことや、ベトナム人の国民性として、誰かに喜んでもらいたいという考え方がベースにあるからです。それでも、ベトナムにおけるサービスの質がまだまだ高い水準になっていないのは、おもてなしの考え方がビジネスと結びついていないことが大きな理由の1つです。日本人にとっては当たり前のことでも、ベトナム人にとっては当たり前ではありません。ベトナムがいくら親日国だったとしても、日本と似ている文化を持っていたとしても、国が違えば根本の考え方はどうしても違ってきます。日本のおもてなしを押し付けるのではなく、ベトナムに合ったおもてなしに形を変えていくことも重要になるのです。

守破離の考え方で

日本には古くから伝わる守破離という言葉があります。守破離とは芸道や武道の世界で使われることが多い言葉で、何かの道を究める際に重要な3つのプロセスを表しています。まず最初の「守」の段階は、その道を究めるにあたって、ひたすら師の教えに従って、流儀を守りつつ、繰り返し学ぶことで、基本を身に付ける段階だと言われています。おもてなしに関して言えば、まずは基本を理解した上で、従業員がばらつきなくお客様に対してサービスを提供できる状態にすることです。そのためには、ある程度のマニュアルやガイドラインが必要になります。続く「破」の段階は、今まで学んだ概念を打ち破り、試行錯誤しながら独創性を見出す段階であると言われます。ここからはマニュアルにはない事態に対して、おもてなしの考えを軸にした行動ができるかどうかが重要になります。今まで学んできたおもてなしをもとに、自分がそのときできる最大限の行動を考えて実行する必要があります。そして最後の「離」の段階では、様々な経験を積み重ねていく中で、いつしか従来の型から脱して、独自のセオリーを発見し、いよいよ師の下を離れる時期だと言われます。この段階に来たのであれば、次はおもてなしを伝えていく役割を担うことになります。おもてなしには決してマニュアルは存在せず、大量生産もできません。「離」の段階に来た人間が自らの言葉で、おもてなしを次世代に継承していく必要があるのです。日本からベトナムへおもてなしを浸透させるときにも同じことが言えます。おもてなしを伝えていく中で、ベトナムに合ったおもてなしに形を変えていき、ベトナムによるおもてなしを作り上げていくことが、さらなる経済発展の一助になると信じています。

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